神戸市東灘区お寺様の畳(紋縁畳編)
能登畳店が神戸市東灘区のお寺様に新調した稲わら畳を納品した時のお話(紋縁畳編)です。
神戸市東灘区お寺様の畳(紋縁畳編)①-2010/8/31
 

- 写真は畳の紋ベリです。
 
 よく暴れん坊将軍などの時代劇に出てくる畳についている畳縁ですね。
 この紋ベリを使った畳と言うのは、作るのが難しいんです。
 なぜなら、紋を畳に合わせて作らないといけないからです。
 畳の端から端まで、紋がピッタリ合わないといけないんですね。
 でも、畳の長さと紋ベリの長さが合わないときっちり紋が出ないと思いませんか?
 実際、畳と紋ベリの長さは違うことが多いです。
 では、どうやって紋を合わすかと言うとですね。
 
 紋ベリを濡らすんです。
 そうすると、紋ベリが縮んでくれるので畳と長さが合うんです。
 と言うか、畳と長さが合うまで縮めるんです。
 一番上の写真の紋ベリは畳の長さに合わせているので、たわんでいます。
 下の写真は濡らした後なので、畳の長さまで縮んでいる訳です。
 畳というのは、お部屋の形に合わせて、一枚一枚の長さが違いますので、紋ベリも使う畳に合わせて縮ませなければいけません。
 実は気の遠くなる作業です。
 でも、そこを手を抜かないのが畳職人の心意気。
 やるぞー!
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神戸市東灘区お寺様の畳(紋縁畳編)②-2010/9/1
 

- 先日、紋ベリの伸び縮みについて投稿しましたが、その畳の完成画像です。
 
 こちらはご住職がお座りになる畳です。
 紋ベリを使った、四方縁の畳になっています。
 

- もうひとつ、紋ベリでの四方縁畳です。
 
 この畳は、四方縁になっていますので通常の畳とは縁の付き方が違います。
 畳の角部分の縁は、両辺から来た縁を曲げ合わせてかがり縫いをしています。
 裁縫に使う針を曲げて作った、曲がり針を使って細かく縫い合わせているんです。
 もう少しアップの画像でないとわかり難いですね。
 大きさの割りに「すんごーく」時間のかかる畳です。
 きっちり出来て良かったです。
 毎日やる仕事では無いのも、時間がかかる理由です。
 でも、こういう仕事も楽しいものです。
 この畳は神戸市東灘区のお寺様に納品させていただいた畳ですが、後日には本堂の畳の納品です。
 難しい作りの畳なのですが、きっちり出来ている自信はあります。
 でも、ちょーっとの不安もあったりします、早く納品したいです。
 何か寝にくいので。
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神戸市東灘区お寺様の畳(紋縁畳編)③-2010/9/5
 

- 今日は、神戸市東灘区のお寺様に紋ベリの畳を納品させていただきました。
 
 稲わら畳床に熊本産麻ダブル畳表、そして紋ベリという一般家庭には無い、お寺ならではの畳でした。
 先日の投稿にも書きましたが、「紋ベリ」と言うのは難しいんです。
 こんな事を言ってもしかたが無いんですが、言わせて下さい、難しいんです。
 並び合う紋通しがピッタリ合わないといけないんですね。
上の写真では分かりにくいので、もう一枚。
 
 こんな感じに紋が合わないといけない訳です。
 今回も納品するまで、少しと言うか結構不安でした。
 合ってるはずなのは、自分できっちり作った過程からも分かっているんですが、安心出来ない。
 ちゃんと合っててやっと安心出来ました。
 では、もう一枚。
 
 はい、ちゃんと合ってます。
 今回、紋ベリの畳を作りながら、色々な事を考えました。
 実は、先代の父親は私が24の時に急死してしまったので、十分に技術と知識を受け継ぐ事が出来ずに後を継いだんですね。
 なのではっきり言って、独学で身に付けた技術の方が多いです。
 そして今回、無事完成した紋ベリを眺めて、「ついにここまで出来たか」と思ってしまいました。
 感慨深かったです。
 ただ、技術と言うのに終わりは無いですし、私的にはこういう畳よりも一般のお客様にいかに満足していただけるかが最重要なのでこれからもまだまだ修行は続きます。
 ありがとうございました!
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